イーサン(魚生Yu Scheng)は、シンガポールやマレーシアに住む中国系の人々の旧正月の料理で、中国本土にはない食習慣のようです。本土にはなくてシンガポールやマレーシアに定着した理由ははっきりとは分かりませんが、1960年代にシンガポールの複数のシェフによって考案されたという説がネットにありました。そうだとすると、まだ誕生して50~60年の料理なのですね。
むかし、東京の中国料理のレストランで鯛の刺身の和えサラダを食べたことがあります。本当にむかしで中学生の頃なのですが、その料理がベースとなっている可能性も有るのでは?と調べてみました。なにかのお祝いの席だったと思うのですが、当時の私にとっては衝撃的に美味しかったので店名も覚えています。海皇(ハイファン)という店でした。ググってみたところなんとまだ健在で営業しています。
といっても東京の店舗は閉店しており、今は大阪堂島店のみ営業しているようです。そしてうん十年前に食べた鯛の刺身のサラダもなんと写真が掲載されており、メニューに残っているではありませんか、すごい!!
このお店は広東料理のレストランなので、イーサンのルーツは広東料理にあるのかもしれません。フカヒレスープや焼売、蒸し餃子、ワンタンなどの点心も広東料理、なんといっても“食は広州にあり”!
さらに調べてみると、広東料理のWikipediaの主な広東料理のリストになんと“刺身粥(魚生粥)”というメニューがありました。
「刺身が半煮えになったところを混ぜながら頂くあつあつ粥」で中国独特の粥だそう。ということは、イーサンのベースはサラダではなく、わたしの大好きな中華系粥かもしれない。
イーサンのベースが魚生粥だとすると、中国粥→魚生粥からの発案で、粥ではない何かと刺身を合わせて新しいお祝い料理としようと考えたのかもしれない。考えてみればサラダこそ新しい料理ですし、刺身とサラダという組み合わせが古いもの×新しいもののミックスで、老若男女に受け入れられやすいと考案されたのかもしれません。
ちょっと話がそれますが、中国粥、ほんとに美味しくて好きです。ペナンに行った際にホテルの朝食バイキングに中華粥があって、飽きずに毎朝食べてました。ほかのものは全然目に入らない。毎朝ひたすら粥を食べた数日でした。なんなんでしょうね、あの日本の粥にはないクリーミーな味わい・・。ナッツやいりこや揚げたワンタン皮、パクチーなどをトッピングすると、トロトロとクリーミーとぱりぱりとカリっが同居して、お腹に優しいのに、優しいだけじゃない充実感と満足感をもたらしてくれるのですよね~。そして“魚生粥”というものはそこに鯛の刺身を投入するということで、それはもう、美味しさ半端なさ過ぎなはず。栄養的にも滋養たっぷり。あー思い出してもまた食べたい!!
もちろんこれは私の推測ですし、ネットの簡単調査の結果なので、広東料理の“魚生粥”が、シンガポールのお祝い料理の元かどうか全く断言できません。でもベースにはそういったものがあったのではないかなと思います。
中国のお粥もその食感のバラエティさが美味しさの一角をなしているように、魚の刺身という柔らかで淡泊なものにいろいろな食感や味のものをトッピングして、食感と彩りを楽しんで食べる料理というのはお祝い料理にぴったりな気がします。
11月24日のイベントでは、皆さんとイーサンの盛り付けをして、少し早い来年の願掛けをしようと思います。皆さんは2023年をどんな年にしたいですか?
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